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公開日:2025.10.08
創業者の歩み・思い 起業について

100万円の恩に報いるために―竹串に賭けた男の執念

焼きアナゴの竹串――。
これは、ただの竹串じゃない。

会社の出資者であり、恩人でもある人の想いが詰まった、一本の竹串なのだ。

会社を立ち上げるとき、その人はこう言ってくれた。
「お前、これから何かと金がいるやろ。好きなように使え。」

そう言って、なんとポンと100万円を差し出してくれた。
あの時の重みは、今でも忘れられない。

だからこそ――。
この竹串のビジネスだけは、絶対に成功させたい!
その思いで、中国からの輸入に全力を注いだ。

ところが現実は、そう甘くなかった。

依頼したのは長さ24cmの竹串
ところが届いた商品を見て、目が点になった。

25cmのものもあれば、23cmのものもある。
先端はトンガっていないどころか、丸くボソボソ。
まるで「割り箸をそのまま突っ込んだ」ような仕上がりだった。

「これじゃ、焼きアナゴの命がけの串打ちができん!」

頭を抱えながらも、諦めるわけにはいかない。
何度も何度も工場とやり取りを重ね、
時には飛行機に乗って直接現場へ乗り込み、
何度も竹のサンプルを削り直してもらった。

――そして、ついに。
ようやく納得のいく品質の串が完成!

「これならいける!」と胸を張り、初めての輸入を決行。

だが、安心したのも束の間。
船便が届き、検品してみると――

……またしても、とんでもないことが起きていた。

(つづく)