中川社長インタビュー

『ディンギー』ヨットから学んだ経営哲学
~目的地へのルートは何通りもある~

「自分にできることは何か」を突き詰める

私が会社を興したのは、40歳の時です。ゼロからのスタートだったので、人・物・金などもなく、日々「自分にできることは何なのか」を考えていました。最初に始めたのは、商社の経験で培った貿易業務。スウェーデンにある会社に日本の食材を輸出していたのですが、1ドル80円を切る超円高に遭遇し、事業撤退の危機も味わいました。その後、逆風を生かし輸入に舵を切ることで、新たな事業が生まれていきました。

ものづくりの始まりは一本の竹串から

新たな事業に舵を切って最初に取り組んだのは、「焼き穴子用の竹串」の製造・輸入でした。『ディンギー』に出資をしてくれた穴子屋さんからの依頼で竹串を作り始めたのが、ものづくりの始まりです。中国で作り始めたのはいいのですが、長さが揃わない、先が尖っていない、カビが生えているなどトラブルの連続でした。でも、出資してもらっている以上、期待に応えるしかない!その思いで改善を繰り返していき、満足できる1本が作れるようになっていきました。

しかし、一軒だけでの取引では仕事にならないのが正直なところ。そこで、私は、焼き穴子の業者をしらみつぶしに調べて一軒一軒回っていったんです。店ごとに串のサイズが違うので、それに合わせた見本を作ったり。そうして3年くらいかけて関係構築をしていき、今では焼き穴子屋さんの約80%がうちの串を使ってくれています。決して大きなマーケットではありませんが、そこでトップシェアを取ることができればプライスリーダーになることができます。また、安定した収益を見込むことができるのは、会社を経営するうえで大きな安心材料にもなります。

『ウッディプッディ』を支える大ヒット商品「サラダセット」

会社がある程度軌道に乗ってきたときに、リスクヘッジの意味も含めて立ち上げたのが『ウッディプッディ』です。当時は、100円ショップをはじめとした取引先にOEM商品を卸していたのですが、一つの業界に依存して仕事をするのはリスクも大きい。自社ブランドという柱があれば、何かあったときにも立ち向かっていけると。では、自社ブランドとして何を作るかと考えたときに思い浮かんだのが木製品でした。

木製品は手作り加工なので小ロットでも作れる。触っていても気持ちよく、癒される。必要がなくなったら燃やすこともできるし、土に埋めれば自然にかえるというのもよかったですね。環境に優しいというのも、時代にマッチしていたと思います。

そんな『ウッディプッディ』の大ヒット商品といえば、累計20万個を売り上げている「はじめてのおままごと サラダセット 木箱入り」。マグネットを使っているので、何回切ってもくっつき、いつまでも遊べるというのが最大の魅力。本物のような切り口のデザインも人気を集めています。当初は、六甲アイランドにあった自社直営店とフランチャイズでの展開を考えていたのですが、現在では卸売りへと大きく方向転換をして、デパートをはじめとする小売店や大手通販サイトなどでも買えるようになっています。この転換が、会社を支える『ウッディプッディ』を基幹事業として大きく成長させてくれました。


OEMからライセンス事業まで新たな展開も

当社のOEM事業の歴史は古く、竹串を作り始めたころまで遡ります。当時急成長を遂げていた100円ショップと業務提携し、竹串をバーベキュー用の串として卸し始めたことが始まりです。最盛期には、老眼鏡やマッサージ棒など2000種類ほどの商品を取り扱っていました。

また、『ウッディプッディ』が成長するに伴い新たな企業との取り組みも増えています。
私たちがOEMでこだわっているのは、“ワンポイント”の差別化。他社がマジックテープを使っているところを磁石にする、手削りで竹串を仕上げるといったようなほんの少しの違いですが、そこにこだわり続けたから今があるのだと思っています。

そして、現在新たな事業として取り組みを始めているのが、ライセンシー業務。2018年に開催された『ロシアワールドカップ』では、日本で発売された公式グッズのすべてを自社で手掛けました。神戸の玩具メーカーが何故?と思われることもあるかもしれませんが、これは、ひとえに取引先との信頼関係がこのような形で実を結んだのだと思います。これからはサッカー関係をはじめ、さまざまなライセンシーにも力を入れていきたいと思っています。将来的には、ウッディプッディ、OEM、ライセンシーの3本柱で会社を支えていきたいと考えています。

目的地へのルートは何通りもある

私の仕事の道しるべとなっているのは、学生時代に乗っていた小型ヨット『ディンギー』での経験。ヨットのおもしろさは順風でも逆風でも“風があれば進む”ということ。海上を進むヨットでは、100人いれば100通りのルートで目的地にたどり着きます。そういう多角的に物を見るという考え方が、仕事をする上でも役に立っています。私の仕事は苦難の連続でしたが、ヨットのように逆風を力に変えて進むことができたように思います。これから先は、順風に乗れるよう会社を軌道に乗せていきたいですね。

取材:2018年10月

ディンギーについて

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